[アニメ化決定]魔王学院の不適合者5の感想[後編]

ライトノベル

こんにちは、フレッシュマンSRです。

前回の記事に引き続き、10月10日に発売された電撃文庫のライトノベル「魔王学院の不適合者5」の後半部分の感想を書いていきます。

前回の記事はこちら

また、とらのあな特典の書き下ろしSSについても、感想を書きました。

あらすじ

※ここから先は「魔王学院の不適合者」の最新刊までのネタバレが含まれます。

※小説本編での魔法名はすべて漢字表記ですが、本文中では基本カタカナで表記します。

選定審判代行者の座をかけて争う八神選定者に選ばれた魔王アノス・ヴォルディゴード
地底世界のエーベラストアンゼッタで、同じ八神選定者のガゼルを下します。

そこに八神選定者の一人であるアヒデと、彼を選定者に選んだ女神アルカナが登場。

ガゼルが盟約を交わしていた神の秩序を奪い、彼を殺害します。

アルカナの忠告を受け、地上に戻ったアノスたち。

その後、彼らはガイラディーテ城の地下に竜が潜んでいることに気づきます。

勇者たちの葛藤

なんとか竜から逃げられるようになった、魔王学院と勇者学院の両生徒たち。

しかし、彼らには正面から竜を倒すだけの力がありません。

エールドメードは結界魔法で竜の力を封じることが必要だと提案。

「そしてこの魔法術式こそ、人間が竜に対抗する手段の一つ、 二千年前、勇者たちが竜討伐の際に使った結界魔法、<デ・ジェリアス>なのだっ!」

デ・ジェリアス>は<アスク>で集めた魔力で行使するため、一人では使えません。

そこで、バカップルレイミサが見本を見せます。
シンがイライラしていたのは言うまでもありません。

そして、エールドメードはエミリアに<デ・ジェリアス>へ挑戦するように命じます。

彼曰く、エミリアが皇族だったときよりも魔法を使えなくなってしまったのは、
人間の魔法に適した体“にされたためであるようです。

逆に今回はそれが好都合となり、彼女なら<アスク>も<デ・ジェリアス>も使えるはずだというのがエールドメードの主張です。

意を決し、<デ・ジェリアス>に挑戦するエミリア。 <アスク>で勇者学院の生徒たちの想いを魔力に変えようとしますー

ーつーか、エミリアって、黙ってりゃ顔は可愛いよな。顔だけな。
ーそう? ぼくは怒ってる顔の方が好きだけどね。いじめたくなる顔してるし。
ー二人とも、<アスク>の魔法中ですから、心を覗かれますよ。
ーしかし、彼女、童顔だと思っていたら、転生者でしたか。

「魔王学院の不適合者5」より

「ら、ラオス君っ! ハイネ君っ! レドリアーノ君っっっ!!! 
授業中になにを考えてるんですかぁーーっっ!!」

集中力を切らしてしまい、<デ・ジェリアス>は失敗に終わりました。

さらに、レイを迎えにやってきたザミラに罵倒され、
勇者学院の生徒たちのわかだまりが、 <アスク> を通じてエミリアに伝わっていきます。

―俺たちは勇者じゃねえ。ただのろくでもない偽者だ……
―ちきしょう。
―どうして本物に生まれなかったんだ……
―どうして……

「魔王学院の不適合者5」より

荒れるラオスに平手打ちをしたエミリア。

「竜から守りたいものが一つもないなら、授業なんて受けなくてもけっこうです。全員です。やる気がないなら、さっさと出ていきなさい」

そして生徒たちは次々と出ていき、最後はエミリアだけが残されました。

そして、ガイラディーテ城に招かれたレイとミサは、ガイラディーテの王リシウスが竜を飼っており、ほかの王族を生贄にしたということを知ります。

レイから霊神人剣を奪うべく、ミサの心を想いの番神の力で乗っ取ろうとするリシウス。

しかし、レイは飄々とリシウスに、「彼女の心は神様にだって奪えやしない」と言い放ちます。

「ミサの心は、僕がすでに奪ってしまっているんだからね」

このリア充め。

勇者たちの戦い

大講堂を出ていった生徒たちを探している途中、突如現れた異竜に襲われたエミリア。

彼女は異竜に飲みこまれそうになりますが、ラオスたちが命がけで彼女を助けようとします。

異竜は通常の竜よりもはるかに危険な相手。

エミリアは自分にかまわず逃げるよう命じますが、

「……勇者がなんだって、カノンがどうしたって……俺たちに、言ってくれるのは、おめぇぐらいしか、いねえしな……」

ラオスも、

「……あのディルヘイドとの戦争以来、生徒の責任を、自分の責任だと口にした
奇特な教師は、あなただけですよ……」

レドリアーノも、

「……考えてもみなよ。今更、ご立派な教師なんかに授業されちゃ、たまらないんだよね。ぼくたちみたいなクズにはさ、エミリアぐらいのクズがちょうどいいんだよ……」

そしてハイネも、決して逃げようとはしませんでした。

「――お願いしますっ! 
わたしに、もう一度、あなたたちを教えるチャンスをくださいっ……!! 
あなたたちが、クズなんかじゃないって、わたしが証明してみせます!!」

覚悟を決めたエミリア。 なんと彼女は竜の喉に飛び込み、その中で<デ・ジェリアス>を使いました。

彼らの勇気が、強大な異竜を倒したのです。

しかし、喜ぶ間もなく、ザミラが現れ、エノラ草原に竜の大群が現れ、ガイラディーテに向かっているといいます。

生徒たちに国の盾になれというザミラに、エミリアの怒りは頂点に。

そこにアノシュが現れ、ドラクエのバシルーラのごとくザミラを草原に飛ばします。

皆笑っていたことから、彼がどれほど人望のない男だったかがうかがえます。

竜はアゼシオンに現れたものであり、アゼシオンの人間が対処しなければいけない問題。

エミリアは勇者学院だけで竜の群れを討伐することを決め、王都を魔王学院に任せます。

彼女がたてた作戦は、戦いの舞台であるトリノス平原に数キロメートルもの巨大魔法陣を描き、平原一帯を<デ・ジェリアス>にして竜たちを一網打尽にすること。

「あなたたちは決してクズなんかじゃありませんっ。
それを、ガイラディーテの人間たちに教えてあげますっ! 
あそこから向かってくる竜とかいう化け物を、一匹残らず駆除してっ!」

エミリアの言葉に、想いを一つにする生徒たち。

元々勇者学院の生徒であるエレオノールとゼシアも加わり、竜の群れと熾烈な戦闘を繰り広げます。

救いようのない男

エーベラストアンゼッタの聖座の間で、アヒデと対峙するアノス。

こいつこそがアゼシオンに竜を放った元凶。

そしてそれすらも「神の救済」だと方便を続けるアヒデに、アノスは静かに、激しい怒りを見せます。

「この生もかつての死も、つかみとった救いも犯した過ちも、決して神などに支配されてはおらぬ。すべては、俺たちがこの手でなしたことだ」

アヒデが口にする<全能なる煌輝>エクエスの救いなど存在しないと、アノスは宣言します。

リア充は爆発する(相手が)

想いを司る番神、エヌス・ネ・メスに完全に体を乗っ取られたミサ。

「不思議ですわね。確かに怒りも悲しみ、喜びも楽しみも、この神は司っています。 けれども、優しさと愛だけはとても脆弱のようですわ」

現れたのは、ミサの真体である、アヴォス・ディルヘヴィア

そして、霊神人剣を奪われても、二人は動じません。

愛し合う二人にしか使えない、究極の愛魔法、<リガロ・ティル・トレアロス>を繰り出します。

 とどめとばかりに、二人は<リガロ・ティル・トレアロス>を王竜に突きだした。
「グガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッッッ!!」
 膨大な光の剣が、リシウス王の根源に突き刺さる。
「人の恋路を邪魔する神は」
「愛に切られて爆発なさい」
 ドッガアアアァァァンッと一際輝く愛の大爆発が起き、崩落した鍾乳洞の瓦礫に王竜がみるみる埋められていった――

「魔王学院の不適合者5」より

リア充爆発しろとはよく聞きますが、この二人に限っては本当に爆発します。
ただし相手が

シン対アルカナ

リシウスが打ち倒されてもなお、救済という名の狂気を捨てようとしないアヒデ。

今度はディルヘイドの首都ミッドヘイズに大量の竜を放ちます。

しかし、アノスはすでに対策を打ってあり、待機していた魔王軍により、あっという間に竜たちは駆逐されていきます。

それでもなお、ミッドヘイズの民に「裁き」を下そうとするアヒデ。

アルカナに、雪月花に触れたものを死に至らしめる彼女の<アーティエルトノア>で、ミッドヘイズを滅ぼすよう命じます。

多くの根源が滅ぶほど、<アーティエルトノア>は輝きを増し強化される。

アヒデは選定審判を勝ち抜くために、竜を使って地上の人々の根源を滅ぼそうとしていたのです。

しかしアノスは、アルカナが滅びを願う神ではないと感じていました。

「もしも、お前が滅びを願っていないというのなら、俺が救ってやろう」

「……わたしは、滅ぼすための奇跡じゃない……!」

ついに、内に秘めた想いを口にしたアルカナ。彼女の真意に応えるべく、アノスが命じると、

なんと夜が消え、<アーティエルトノア>も消滅したのです。

それを可能にしたのは、シンの剣技「夜奪絶佳(やだつぜっか)」。

アノスの命令通り、アルカナを滅ぼすことはしないと言ったシン。

「優しく殺して差し上げましょう」

そういいながら、神殺しの剣、斬神剣グネオドロスを引き抜くシン。

複数の神の秩序を持ち、圧倒的な力を持つはずのアルカナを瞬く間に追い詰めるシン。

しかも、その後現れた竜人たちに、彼は手加減していたといいます。

強すぎる。

リヴァインギルマを抜く方法

<創造の月>によって強化された体に、アルカナの力を宿したアヒデ。神託者としての、彼の真の姿です。

そして、アルカナは霊神人剣と斬神剣を融合させ、全能者の剣リヴァインギルマを作り出します。

『神託者を滅ぼす方法は一つ。全能者の剣リヴァインギルマを抜き放ち、
その剣で三度、彼を斬り裂くこと』

今のアヒデを倒すには、リヴァインギルマを抜くしかありません。

『しかし、全能者の剣を鞘に納めていなければ、その神剣の力により、引き抜いた者の根源は、現在、過去、未来に渡って消滅する』

しかし、リヴァインギルマを抜けば、その者は消滅してしまいます。

つまり、論理的に、アヒデを倒すことは不可能だということです。

「神託者が持つべきは、無知の知。
足りない知恵は、神の言葉によって補われるのですっ!」

今まで散々醜態を晒したにもかかわらず、まだ減らず口を叩くアヒデ。

そんなアヒデを、アノスは攻撃すらせずに倒せると豪語します。

そして戦いの末に、アヒデはアノスの根源を握り潰します。

しかし、それは偽物で、アヒデはリヴァインギルマの柄をつかまされ、剣を抜いていました。

本当に攻撃せず、アノスはアヒデを自滅させることができたのです。

死の恐怖に発狂し、喚き散らしながら吐くアヒデ。 この上なく無様。

「お前のそれは無知の知ではなく、ただの阿呆だ」

アヒデが握らされたリヴァインギルマもまた、偽物であったとネタばらしされ、
それでもまだ道化っぷりを見せるアヒデ。

たとえアノスでも、この男は救えない。そう感じました。

全能者が誰にも抜けない剣を作ったならば、その剣は全能者でも抜けません。

つまり、全能者などいないと悟ることこそが、アルカナの審判だったのです。

しかし、アノスが出した答えは違いました。

なんとリヴァインギルマを鞘に納めたまま、リヴァインギルマでアヒデを切り裂いたのです。

不可能を可能にしたのは、可能性を実在化する魔法<ヴェネジアラ>。

アノスは<ヴェネジアラ>により、剣を抜いた可能性と、剣を抜かなかった可能性を両方とも現実のものとする、あり得ないことをやってのけました。

もちろん、完全に矛盾しているその理論をアヒデは理解できませんでしたが、

「くはは。理解できぬか、アヒデ。それでよい。お前にわかりやすく説明するならば、全能者の出す答えを、全能ではない者は理解できぬということだ」

そもそも全能者が、論理に縛られるのがおかしいというのがアノスの理論です。

そしてアルカナの力を切り離され、<ネドネリアズ>で悪夢の世界へ落ちるアヒデ。

神に裏切られ、神などいないと言いふらさなけらば覚めない悪夢を1000回繰り返したアヒデ。

アノスですら救おうとしないほど腐りきったアヒデを見て、アルカナはついに彼との盟約を取り消します。

「あなたは決して神の代行者に相応しくはない。わたしが選ぶのは、
全能者の審判を乗り越えた彼、不適合者アノス・ヴォルディゴード。
アヒデ、あなたに審判を下します。一人の信徒に戻り、懸命に生きなさい」

アルカナに見放され、狂ったように笑いだすアヒデ。

彼は1000回続く悪夢の中で精神が破綻し、夢と現実の区別がつかなくなっていました。

「さて、一〇〇一回目ですか。神を信じ切っている馬鹿な信徒や、普段お高くとまっている教皇に、<全能なる煌輝>エクエスなどいないということを突きつけてやりますか。さっさと目が覚めてくれればいいのですがね」

これが現実だとも知らず、悪夢の続き、すなわち本物のジオルダルの民に「神がいない」と吹聴しようとするアヒデを、嗜虐的に笑いながら見送るアノス。

一方アルカナは、過去に自分がした過ちをずっと悔やみ続けていました。

選定審判で娘を失った男のために、彼の娘と同じ心、体、記憶をもった女性を作り出したアルカナ。

しかし、彼は娘が偽物だという事実を突き付けられ、自ら命を絶ちました。

すべてを救おうとする優しい存在になろうとしたからこそ、アヒデのような救いようのない男とアルカナは盟約を交わしたそうです。

「俺の神となれ、アルカナ。お前が償いをするというのならば、俺がその罪を許してやる」

そして、彼女の罪は償うことができるというアノスに、すべての元凶である選定審判をなくしたいと言うアルカナ。

「選定審判をぶち壊す」

エピローグ

荒れていた勇者たちを立ち直らせ、竜の群れも撃退したエミリア。

契約通り、成果を上げた彼女はディルヘイドでの地位が用意されています。

しかし、そこにラオス、レドリアーノ、ハイネたちが押しかけてきます。

「……やめねえでほしいんだ……エミリア先生に、ここにいてほしいんだ……!」

「わたしたちは、まだエミリア先生から十分に学んでいません」

「これからは、ちゃんとやるから……授業だって出るし、早弁もしないし、テストも真面目に受けるからさっ……!」

大人たちの都合に振り回されてきた彼らがようやく出会えた本当の教師、それがエミリアでした。

そしてエミリアもまた、彼らをもっと教え導いていきたいと思っていました。

もちろんそのことをわかっていたアノスは、エミリアに、逮捕されたザミラに代わり、勇者学院アルクランイスカの学園長を務めるよう命じました。

ちなみに、ガイラディーテは王族がいなくなったため、議会による共和制に切り替わるそうで、エミリアも議員候補として選ばれるようです。

エミリアの過酷な日々はこれからも続くようです。

一方、本物の勇者であるレイに負い目を感じていつつも、彼にあこがれていた勇者学院の生徒たち。彼らにレイはこういいます。

「この日の君たちを守れてよかった。君たちは僕の救いだ。ありがとう」

2000年前も、現代でも、愚かな人間たちに裏切られ続けたレイ。

しかし、恐ろしい竜から国を守るために戦った彼らもまた、”勇者”であり、その彼らを守ってきたことはレイにとって誇れることでした。

そして、アルカナを連れて自宅に帰ったアノス。

選定審判について両親に説明しますがー

「だ、大丈夫よ。一緒に選定審判を勝ち抜こう。
お母さんはアルカナちゃんの味方だからね。そんなの絶対、許せないもの。
酷い男のところに、子供はおいておけないわ!」

「お前、いくら魔王になったからって、旦那のいる女性に手を出すなんて、
そりゃいくらなんでも…
羨ましすぎるぞ」

案の定全く話が通じず、選定審判を離婚裁判と勘違いして一人で騒ぐ母イザベラに、生後6ヶ月(一応)の息子の不倫疑惑を羨ましがる父グスタ。

この二人の誤解を解くのは、アノスにとって全能者の審判以上の難関のようです。

とらのあな 特典 SS

とらのあなでは初回特典として、書き下ろしのSS小冊子がついてきます。

タイトルは「閃光の肩車 サーシャ編」。表紙を含めて4ページです。

ストーリーはアノスがアノシュになるときに使った対象を若返らせる魔法<クルスラ>で4歳相当まで幼くなったサーシャをアノスが肩車するというもの。

ちなみに、アノスはすでに幼くなったミーシャを肩車しており、メロンブックスの特典 「閃光の肩車 ミーシャ編」 の続きであるようです。(こちらはチェックしていないので、断言できません)

タイトルにあった閃光というのは、アノスがサーシャたちを肩車しながら閃光のような速度で走っているという意味です。

もしアノスが本当に光速(秒速30万キロメートル)で走っているとしたら、サーシャたちは地球の男性の平均歩行速度(時速5.4キロメートルとします)の2億倍の速さで肩車されていることになります。それは悲鳴も上げるわな……

※幼い子供を肩車しながら走るのは大変危険なので止めましょう。

後半のまとめ

この章の真の主人公はエミリア先生です。

初期は混血であるアノスに嫌がらせをするヒステリックな教師として描写されていたエミリア。

2章でアノスの怒りを買ったときは、「もう二度と出てこないんじゃないか」と思っていました。

しかし、この5章で、エミリアはついに現実と向き合い、荒れていた勇者学院の生徒たちと心を一つにして竜に立ち向かうことで、別人のように成長しました。

作者の秋先生はあとがきで、本編開始時点ですでに強さでも精神面でも完成されていたアノスに代わり、挫折を乗り越えて成長するキャラクターとして、エミリアを章の中心に置いたようです。

主人公ばかりでなく、こうしたサブキャラクターにもしっかりスポットライトを当てるのが、この作品の魅力です。

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